新長老

 新しい土地に来て慣れてきた時、会衆に新しい長老が入ってきた。その長老は権力者らしく皆が平伏していた。普通の兄弟と違って入る前から噂が伝わってきていた。入るやいなや、主宰監督は彼に交代になり会衆の雰囲気が変わってしまった。
 会衆の事を何も知らないのだから無理も無いのだろう。この組織には昔からそういう傾向がある。地元の人の方が詳しいはずなのに、なぜか権力者が越してくると頂点はその人に変わってしまうのだ。
 会衆内では凄い反発もあり、主宰と成員は見えないところで密かに戦っていた。私はといえば戦う気はさらさらなかったのだが、服装や髪型の事で何度も呼び出しをくらうようになった。目の前では、はいはいと言っていたが余り言うことを聞かなかったので特権も幾つかやんわり制限された。
 しかし、この問題はやがて解決した。新主宰は、成員の激しい抵抗にあったのだろうやり方を変えざるを得なくなり、ついには何も言わなくなってきたのだ。今思えば、この主宰は張り切ってよかれと思ってした事だったのかもしれない。しかし、誰にも相談しなかったので地元の人に誤解を受けてしまったのだろう。やはり地元は地元に・・。