民間への就活

 私は遅れた分を取り戻すかのように精力的に就活を始めた。GWを過ぎると既に順調な就活をした人達は、内定を決めて学校へ戻ってくる。悠々自適に校内を歩いているのだ。私はそういう人達を横目で見ながらもスーツ姿で就職課や図書館やら色々走り回っていた。
 説明会にも足を運び、試験を受けたりして徐々に選考が進んでいった。的を絞り5社くらいしか受けなかったのだが全部が通ってしまいあれよあれよという間に最終面接に辿り着いた。
 私は、大学を変な年齢で入り直しているしきっとそこを突かれてくると覚悟していたのだが、そんなこともなく逆にそこを過大評価してくれ私にとって武器となった。それに、一度は社会に出ている身である。大概の人間には接してきた。今更それが面接官だろうが怖くはない。
 昔、高校の時は面接で失敗したことが多々あったが、今はまるで面接で失敗することなど想像も出来ない。何を言われてもそれなりに返すし、何を聞かれてもそれっぽい言葉は言えるからだ。そう思うと色々あった人生だったが全部無駄ではなかったと感謝できる。
 結局私は5社内定してしまった。殆ど同時期に内定したこともあり、どうやって保留しておくか思案どころだったが適当に繋ぎ比較しながら考えた。最終的に私に向いていると思われる仕事を一社選ぶことにした。
 一部上場社員数は数千。グループ企業も併せれば万は行くであろう大企業にきまった。掘っ立て小屋同然の社屋でこき使われたこともあった。ビルに入れたものの、会社とは名ばかりの小さな組織に属して低賃金で働いたこともあった。それを考えると雲泥の差である。この会社に受かったことが嬉しいというよりは、こういう会社にトライできた事が嬉しかった。それまでは、如何に頑張っても高卒ということだけで門前払いになることが多かったからだ。
 母親に話すと真っ先に「集会は支持できる?」という言葉が。また、集会か・・・少しうんざりしたが、私も今事を荒立てるのは賢明ではないと思い素直に「うん、裁量に任されてるから結構行けると思うよ」と答えた。これもある意味親孝行だろう。