葛藤渦巻く世界

Arlecchino2004-11-13

 良心の危機―「エホバの証人」組織中枢での葛藤という本をご存じだろうか?かなり前から、所謂背教世界では有名だった。日本でも訳されて発行された為に読み出した人が多いようだ。私の周りにも何人かこの本を読んだという話が。
 私も自分なりにこの本について考えてみた。書いたのはものみの塔会長故フランズ氏の甥。協会内部に長年おり、内部の視点からJWの事を書いている。統治体が、実は適当に世界中からの案件を処理していることや、排斥問題に絡めての権力闘争。神からの指示という名の下の協会組織からの指示。粛正等々。
 これを見て感じたことは、末端も本部もさほど変わっていないということか。この手の排斥や権力に絡むトラブルは身の回りでもよくある話だ。統治体ともなると、少しはマシかと思いきやそうでもないようだ。最も、被害を受けた人の視点から書かれているので若干は尾鰭が加わっているかもしれない。何事も片一方の話だけを鵜呑みにすると客観的真実から少し遠のく。どちらの言うことも真実には違いないのだが、きっと、私の知りたい“真実”は協会の言い分とフランズ氏の言い分を足して2で割ったようなものなのだろう。
 興味深かったのは、この本はよくある暴露本のように、単なる協会の悪口や罵詈雑言で終わっていないということだ。あくまでも、フランズ氏が統治体内部において、自分の良心に照らして自分がどう考え、どう行動したかを述べているに過ぎない。冷静に淡々と。
 私はこのフランズ氏ほど協会の偉いさんだったわけではないし、聖書についてここまで何か調べたわけでもない。しかし、このフランズ氏と同じで真の崇拝にあるまじき組織なのではないか?という思いが頭を擡げている。にもかかわらず、諸事情でこの組織に逗留している。
 フランズ氏も排斥処分を受けるまでは組織の中で自分なりに正しいと思う道を取り活動していた。私もフランズ氏までとはいわないが、この日記を通して組織の一面を違う形で外に伝え、自分なりの良心のもと過ごしていきたい。とにかく、この本興味がある方はご一読を。この日記を見ている方なら楽しめるはず。
参考リンク:レイモンド・フランズ『エホバの証人最高指導者の人生の軌跡とその信仰』