別れの宴

Arlecchino2005-03-12

 昨日の晩は近隣の若者を勢揃いさせて、私やこの学年の人々の為の送別の会が催された。主催は、私の会衆の清掃屋の個人事業をしておられる社長兄弟。兄弟は50過ぎで、若い頃は世界各国を放浪していた変わり者。奥さん姉妹も、かなり異色な経歴。だが、それ故キャラが面白い。JWに対してもかなりフランクな見方を持っている。勿論、この組織に逗留しているし役職にもついているので*1、それなりに締めるところは締めるけど。
 社長兄弟は顔が広いので、この日は知り合いの北海道の兄弟に送ってもらったという産直の海の幸で食卓が彩られていた。イカというのはガムみたいにかみ切れないものだと思っていたが、新鮮なイカはぷっつりと軽く噛んだだけで切れるのがびっくりした。今までよほど美味しくないイカを食べていたのだな、と考えた。こういう珍しいものを食べれるのも社長兄弟の顔が広いおかげか。
 さて、その会には20人位の若者が来ていた。社長兄弟宅が大きいので、その人数も難なく収容できるのだが、会も進んで酒も進み段々個々人が話し始めた。その中に、例の院生の兄弟がいた。彼と話をしてみたいと前々から思っていたので、少し近づいてみることに。
 社長兄弟やその奥様と他数人で、院の兄弟が盛り上がっていたのだが、彼は「私位になると、人の言動で大体はその人の過去や性格を察することが出来る。」と言っていた。すると社長兄弟がその彼の専攻に注目し、テレビの名越さんみたく自分の精神分析をしてくれと依頼する。さすがにずばっと指摘することは避けていたが、色々難しい階層とかの話や三大心理学の話とかを延々して社長兄弟の事をやんわり指摘していた。それが当たっているかいないか私には解らないが、社長にしたら感心したようで、以後かなりご執心になる。

院生の心中

 やがて、酒も進み時間が経ち、聖書の話なんぞになってくる。一人の子が最近あんまり集会に来ていなかったのだが、その席にきていた。周りが酒の勢いも手伝って「なんでこないの?」などと聞き出す。すると院生が「集会が嫌いだから来ないんでしょ。でも、嫌いな風にさせた成員も悪いよね・・」などと集会にこない理由を決めつけで話し始める。
 積極的に話してきたので、ちょっとびっくりしたが続けて聞いていると話はエスカレートし、「長老とかにしても、成員を傷つけるクリスチャンらしからぬ人間が居る。そういう人間は万死に値する。」とか「増加数だけ考えて、若者にほいほいとバプテスマを受けさせていく研究司会者とかいるけど、ああいう人も適当なクリスチャンを生み出した罪がある。」「集会にきている人間が助かるとは限らない、逆に来てない不活発な人が助かり、来ている長老が滅ぼされるかもしれない。」などと穏やかならぬ発言*2が飛び出す。ちなみに社長兄弟は長老。その目の前で。
 他にもいろいろな神権的話が飛び出したのだが、結局彼を見ていると感じるのは、エホバの証人が好きではなさそうということ。好きなのはエホバ(造物主たる神)と聖書であって、それ以外には興味がないと言う感じ。なぜそれが仏教やイスラムでなくキリスト教なのかといえば、それはたまたま最初教わったのがキリスト教だっただけで、これが他の宗教だったらそこから神や真理へアプローチしていたかもしれない。
 彼の話を聞いていると、すべての事象は彼の頭の中で整理がついているっぽい。彼くらいの学歴の人間になると、特に勉強での挫折なんてないのだろうから、自分の頭で考えて整理がつけばそれが真理と思うのかもしれない。自分の発言に自信がみなぎっていた。聖書の理解も神の理解も、JW寄りというよりは院生の兄弟の意見という感じだった。なぜ組織に逗留しているかさだかではないが、それは「悪はどこにいても滅ぼされる。しかし善はどこにいても残る」ならどこにいても(どんな組織でも)同じだ的な考えがあるのかもしれない。彼の発言からそんなことを感じた。
 何にせよこの院生兄弟は、私のような人間とは違うが、別の意味でJWという組織を嫌っているのが解った。頭のいい人は頭のいい人なりに真理というのを模索しているのだろう。私たちの別れの交わりだったのに気がついたらお株は院生兄弟に奪われていた。それなりに面白い交わりではあったからいいけど。美味いもの食べれたし。

*1:長老。

*2:まともなJWからしたら、という意味。私自身は別にそういう意見があっても良いと思うが。