ドメスティックな話

Arlecchino2005-03-14

 昨日は近くの県に住む友人の会衆に交わってきた。特段会衆には興味も無かったし、いつも通りの他会衆交流となった。その後お決まりのように交わりになったのだが、最初は普通の交わりで適当に愛想笑いしながら流して聞いていた。
 やがて、例によりお酒が進み遅い時間になってくると、身の上話大会ぽくなってきた。こういう時は決まってディープな話題が飛び交うのでワクワクして聞いていた。結婚している25歳くらいの姉妹が居た。松○菜々子のような端正な顔立ちですらりとしたモデル体型。かなりの美人姉妹だった。話の経緯は忘れたが、この姉妹が「私たち夫婦は、なぜ子供を設けないか」という話を始めた。
 姉妹の家はお姉さんと父母の四人家族で神権家族。お父さんは大企業に勤める真面目な人。お母さんも一見普通。しかし、このお母さんが少しおかしいところがあったよう。たとえば、子供部屋のテーブルの上には何もモノを置いてはイケナイという指導をしていたらしい。それを破ると、机の上にあったモノを全部捨ててしまうとか。
 玄関の靴はしっかり揃えておくこと、と言えばそれに違反すると靴もリアルで捨てられていたそうだ。おかげで履く靴が無い日とかもあり、慌ててゴミ集積所に行き、泣きながらゴミをあさったとか。他にも、お金が貯まったので収納用のタンスを買いたいと母親に言ったところ「だめ!でもテレビなら買って良いわよ。」などと、必要性のあるタンスは禁じられなぜかテレビを推奨されるあべこべさ。
 そんなとき父親に助けを求めると父親は「知らんぷり」を決め込んで一切関知しなかったという。子供は孤立していってしまい、母という当時の権力者に為す術もなく従うしかなかった。そういう経験をしてきたので、その姉妹は「愛」が解らないという。今の旦那さんに「好き好き」と言ってもらって初めて「人から愛される」事を知ったそうだ。
 母親から逃れたくて結婚を急ぎ、一九歳くらいで手近な兄弟と結婚して今に至るとか。「自分があべこべな育て方をされたから子供にも同じ事をしそうで怖い、だから子供を作れない」と言っていた。確かにそうなのかもしれない、自分が示されてないものは他人に示すことは難しそうだ。
 話を総合して聞いていると、お母さんも愛情を持って子供を育てたつもりらしいが、歪んだ愛情として表に発露してしまった感じだ。聞けばお母さんの家庭もあべこべな家庭だったとか。だから自分は幸せな家庭をと思い、早めに結婚して子育てしたそうだ。しかし、結果は子供にとって幸せとは言い難かった。
 その娘さん姉妹がこう言っていた「子供を育てる資格もないのに、子供を産むなんて無責任だと思わない?私はこんな境遇に産んで欲しいとも思わなかったし、だったら産まれて来たくなかった。」それを聞き一人の人が「でもさ、産まれてきて楽しいことあったでしょ?もしなかったら今自殺しなきゃいけないじゃない。」という。するとその姉妹「正直、自殺しても良いくらい。全然生きてて楽しくない。」と言っていた。ちょっと話が過激な方に行きそうだったが、その後、他の姉妹が取りなしてその場は平穏な方向に持って行かれた。
 こういう話を聞いていると、負の連鎖というのは連綿と子々孫々まで続いてしまうのかな?とか考えさせられる。それに、自分がいかに恵まれた境遇に産まれたかも感じることが出来る。JWではあったが、それを除けばましな境遇だったかなと。この姉妹のことをどうこうすることは出来ないし、助けの手をさしのべるなんてことも到底出来ないが、少し姉妹の痛みがわかる気がした。