衝撃の告白Ⅱ

Arlecchino2005-11-09

 彼女は少しずつ少しずつ口を開き始めた。その目は何かを決意したかのような決意に満ちていた。一体何を話すのだろうか。私の脳裏に最悪の事態を想定する安全装置が働いた。よくある、想定被害妄想である。テストとかでも、0点を想定していれば60点だとショックが少ないもの。殴られる直前も少し身構えれば痛さが凌げるそれに近いものかもしれない。
 彼女と深刻な話をする前に、知り合いの子の話をしていたのだがその子は昔不倫をして弄ばれたことがあったせいか、性へ冷めた見方をしており乱れた性生活を送っていた。そのため妊娠したことも何度かあったようで、堕胎に完全に慣れておりその事について話していたのを思い出した。もしや、この話をする為の伏線として堕胎の話をしていたのではないだろうか?など次々と頭の中を最悪の事態が過ぎる。不治の病も頭を過ぎった。この間2.5秒位か。
 彼女の口から出た言葉は私の予想を裏切るものだった。

実はね、私宗教やってるの・・・それも、新興宗教なんだ。

 え?一瞬頭を色々な事が過ぎった。宗教?もしかしてJWなのだろうか。だとしたら、ある意味幸せなことかもしれない。しかし、彼女の動向からJWぽさは見受けられなかった。新興宗教=JWという図式も少し安易だったかもしれない。彼女は続けて語り出した。それによると宗教は私もしっているメジャーな新興宗教ではあったもののJWではなかった。
 彼女は、その宗教を知ったきっかけも語った。そもそもは親が始めていたらしい。どこの宗教も似たようなものだ。彼女もJW二世のように真面目に活動はせず、親が信じているので信じている程度の感覚だったようだ。しかし、人生の途中で様々な困難に出会い、その時ダメもとで手を合わせ朝も晩も熱心に祈ったという。勿論人一倍努力もしたのだが、その努力をする力を沸かせるために祈ったそうだ。その甲斐あって、人生の色々な局面で成功を収めてきたらしい。
 どの宗教もそうだが、きっと信じるきっかけなどというものはこういうモノなのかも知れない。私は昔から、祈りつつも神なぞ信じていなかった気がする。それとは逆に彼女は信じて生きてきたと言う訳か。話を聞いてると、彼女は神を信じているかというか、祈りによって力を得ようとしているように感じた。
 そんな話ではあったが、不思議と驚かないで冷静に聞いている自分が居た。やがて、聞く彼女の話はJW二世と似ている境遇であることが解ってきた。
・・・続く。