ロボットではない

Arlecchino2006-03-20

 だいぶ日があいてしまったが続き。彼は結局、親と直に会わなかったようだ。会わずに親にメールを送りJWと決別する旨を送り一方的に終了しようとしたらしい。黙ってないのは親のほう。そんなメール一本で終わりにしようとする息子に激怒し、メール・電話による波状攻勢に出たようだ。
 親からくる執拗なメール・電話に疲れてしまったと、彼から相談を受けた。私はつい彼に肩入れしてしまうが、よーく考えてみれば自分が幼い頃から手塩にかけて育ててきた子。母親ともなれば自分が生んだ子でもある。文字通り分身である。それなりに、自分の思い通りに育てたくなるだろう。
 しかも、少なくとも彼は大学に入るまでは地元で普通のJW生活をしていたのだ。進学塾に通わせている親が、大学に進学してくれることを希望するように、JWの親はまっとうなJWになることを望む。いきなり大学にいかず高卒で働くと言われた時親が動揺するのと同じだろう。
 息子からすると、地元にいた頃から徐々に薄らいでおり上京を機にJWについて見直そうとしていたのだが、親からすると今回の騒動がいきなりになる。突然息子が思いつきで辞めそうになっていると勘違いしてしまうのだろう。余条件が少なくなり、いきなり「辞める」という言葉だけが目についてパニックになる。
 過去何回か、子供が辞めるケースを見たが、彼の様にある程度地元で真面目にしていて、何処かに転出したのを機に辞めようとするとどうしても親は原因を息子に求めず他に求めるように思う。周りの兄弟姉妹が冷たかったのでは?世の友達の悪影響なのでは?誘惑があったのでは?等々。しかし、現実は違う。辞めようとしている人はずっと前から、JWに疑問を感じつつも、親の手前遠慮したりそのことについて考えずにいるだけなのだ。親は、それを認めたくないために、つい原因を他に求めてしまう。
 昔、地元に居た開拓者の姉妹がある日突然引っ越しをして皆の前から消え去った。原因は、世の男性とつきあっており結婚をするためだったようだが、当時はそれがわからず親が、周りの長老を責め立てまくっていた。結局ただ人として当たり前の恋をしたいというのが理由だったのだが、親はそれを認めず周囲をひたすら責め立てた。
 今回の彼の事件もそうだが、こういうケースを何度も見ると自分が親になったとき子供をロボット視しないようにしようと思ってしまう。子供は自分の意志で作り、自分の思いを込めて育て、自分のお金で育む。故に、どうしても自分のモノ意識が強くなるが、子供にも意志があることを忘れては行けない。子供が自分の思惑と違うことをしても認めなければいけないな、とつくづく考えさせられる。
 当面、彼の問題は収まりそうにない。なんと、彼は親から来る執拗なメールにぷっちんして遂にある行動に出てしまう。が、これも長くなったので次へ回す。