別れの時

Arlecchino2006-03-22

 執拗に親からくるメールや電話に対して、切れた彼は遂にすべてを吐露してしまった。すべてとは、離れて集会に行っていないということだけでなく、世の女性と付き合っており、それなりの関係も持ったということ。
 こんな話聞いたら、イッっちゃってるJW一世ならもれなく過剰な反応をしてしまう。案の定彼の親も、リアクション芸人顔負けな大リアクションを取ったようだ。キレたというより、ぶっ壊れた狂いそうになったという方が当たっているだろうか。
 それを言ったか言わないかのうちに、家を飛び出して遙々北海道から出てきて東京に押しかけてきたそうだ。相変わらず、彼の家の所在が分からないので警察に行ったり以前のバイト先に押しかけて半狂乱の状態で叫んで息子の居場所を求めたらしい。警察もいきさつを聞いたが、犯罪性がないと判断したのだろうまったく取り合わなかったらしい。
 それで、収まることもなく2,3日彼の家の周りをウロウロしたり、彼の家の近くの大通りで座り込んでまるでキチガイか浮浪者の様に同じ服で彷徨ったとか。すっかり周囲の人にも分かるようなオカシイ姿でウロウロするので彼も、心配になり友人に頼んで親の様子を時々見に行ってもらったりしたようだ。
 結局、彼は父親に連絡を取り母親を迎えに来てもらうよう要請したようだ。彼の父親は身信者ではあるものの、JWに好意的。だが、決してJWになるつもりもない人。母親には頭が上がらない性格なので、ここまで母親の行動を見て見ぬふりをしてきたが、流石にそんな状態と聞いて放っておけなくなったのだろう重い腰を上げて母を無事回収していった。
 以後の様子はというと、母親は実家で半狂乱で鬱の様な状態になり時々叫んだりしてはふさぎ込んでを繰り返しているようだ。そして、二度と敷居はまたがせないと怒りまくっているとか。父親はというと、JWでないのと、男だからか冷静に

色々、あったみたいだけどおまえの人生だから、じっくり考えろ。

とアドバイスを送りそれ以上は何も言っていないとか。こういうとき冷静なのはやはり男親か。
 彼にこれからどうするの?と聞いたところ「わからない」と帰ってきた。「ただ、今まで母親と築いてきたすべてを失った気がする。これからどうなるかしばらく分からない。」と言っていた。二世の脱却は難しい。突然悪事がばれてもこういう結末。かといって、自分で決別宣言をしたら素直に終わるかと言えばそうでもないだろう。平穏に親と和解して分かれることはできないのだろうか。彼のJWとの、そして母親との別れの時は突然訪れ、怒濤のように過ぎ去っていったようだ。