奇妙な食事会

Arlecchino2006-04-16

 今日は彼女の家で夕食に誘われていた。と言っても、家に呼ばれるということでまた例の宗教勧誘を受けるのだろなと言うのはうすうす分かっていた。彼女も、そういう時はなぜ家に呼ぶかということについてはふれない。ふれないと言うことは彼女も後ろめたい時なのだ。だから今日の本旨が私に家庭的料理を食べさせることではなく、単に勧誘する為のセッティングだと言うことがわかった。
 到着すると、彼女以外に若い女性が一人いた。彼女の話題に何度か上っていた宗教仲間っぽいというのはうすうすわかった。安藤美姫に似ている感じのかわいい系でさわやかな顔立ちをしていて別段悪印象は受けなかった。
 彼女のお母様お手製の食事を出されて、厳かにその会は始まった。最初は当たり障りない話から始まったのだが、ある時から堰を切ったかのように、その友人女性が話し始めた。おそらく、私を勧誘するように事前に指示を受けていたのだろう。その女性は、同級生視点から色々と話をしてきた。
 話の内容は、要は御利益があるから入りなさいということ。御利益があるよ、自分も2世だったから昔は信じていなかったけど、ある時を境に信じるようになってそれ以来その力を感じていると言ってた。話す感じは、JWを真面目にやりはじめて熱心に奉仕してる姉妹というところか。
 そのせいか、目をランランと輝かせて話すその女性に対して違和感は覚えなかった。よくみた目つき。きっとどの宗教でも、信じて頑張っている時はこんな感じなんだろう。話の内容には同意できなかったが、話している人の気持ちは分かった。
 結局、この宗教はいいものだから。周りがどう見るか分からないけど、入ってる人を見て的なことだった。また、入っている信者数を上げてこんなに多くの人が入っているのが真の宗教の証拠だと言っていた。どっかでも聞いた台詞。強制はしないよ、入って一ヶ月でちょっと違うなと思えば別の道を進むのもありだよなんて甘い囁きを言っていた。それもJWで聞き飽きた。
 母親がどうしてもその宗教の神棚を置きたいらしく、すでに購入してあった神棚を私に持って帰るようなことを仄めかしてきた。彼女も持って帰れとは言わないけど話の雰囲気で暗にそれを言っていた。彼女の友達も持って帰れとはいわないが、入信するような話をしてきた。
 明らかに劣勢。周り三人はいわばこの点に関しては敵。私の内心など知るよしもなく、とりあえず入れよ話はそれからだ的なノリ。とはいえ、そういう状況に置かれた自分を少し楽しんだりしてしまったのも事実。さて、ここにいる人たちはそれなりに猛者。どうやって納得させて切り抜けようか・・。
 一通り話されたあとに、

ここまで聞いてどう思う?率直に言ってみて

と彼女の友達から言われた。
率直に言ってしまえば

いやー、カルトって怖いっすね。勧誘するときは親しい人を使ってくるんですね。ていうか、その教義とかの話を聞いてるとき吹き出しそうになりました。

という感じなのだが言えるわけもなく、悩んだ。否定したらしたで、今後遺恨が残る・・・この人たちを傷つけずに、友好関係を保つには・・・その刹那5秒くらいで必死に考え、少し沈黙したあとにこう切り出した。

皆さんがおっしゃっている意味も分かります。素晴らしい真理だということもわかります。私もこの話を聞くようになって徐々にではありますが見方が変わってきました。良い印象を受けています。
A子さん(彼女の友達)がおもしろい本を読んだら友達に勧めたくなる、そんな気持ちで私にも勧めてくれたとさっきおっしゃりましたが、それは分かりました。それを、安易に受け入れることもできますし読んで面白かった振りはできると思います。でもそれではA子さんの本意ではないですよね?本当に面白かったと思えてこそ、A子さんもご満足ですよね?
私は皆さんと違って、ここほんの数ヶ月で知りました。言ってみればまだ赤ちゃんなんです。赤ちゃんにいくら滋養があるからといって、松阪牛のステーキは与えないですよね。まずは、授乳から始まり離乳食となってだんだん段階的に食事になりますよね。それと同じだと思います。私はまだ、赤ちゃんどころか、まだ胎児にすらなっていない状況です。今から徐々にではありますが話を聞いていきたいと思う段階なのでそう、ことを性急に処理しないでください。暖かく見守って頂ければと思います。

と何とか切り返した。このときばかりはJWで使っていたたとえ話に感謝した。彼女の側の宗教も建前では強制しないし、明るく楽しい宗教を歌っている。であれば、そこを逆手にとって強制せずゆっくり進ませてほしいと言えば一応の安堵は得るだろう。また、松阪牛とかにたとえてとりあえず良い宗教ですね的なことを言えば納得もするだろう。そんな計算に基づいた発言だった。強制をしないことを標榜していたので、前向きで宗教を否定していない発言に誰もつっこみを入れることができず、私の家に神棚を置くことは回避された。
 とはいえ、この攻防もう2,3回されたらいつかは神棚設置にこぎつかれそうなきがする。むこうから条件提示ばかり受けているのもなんかシャクだ。設置させろというときはイコール信者になれと言うときだろう。そのときどう対処するか・・・。もう一つ気になっているのが寄付。どうせ、いつか寄付を募ってくるはず。寄付は断固しない!と拒否するつもり。お金で信心の度合いが決まるといいうのは絶対オカシイ。真の宗教なら祈りの量とかで決まるはずだと、相手の正論を逆手に取って話してみるつもり。汚い宗教ほど、正論を掲げたがる、が、その正論こそがこちらから攻め入る為のチャンス。今後暫くは彼女と付き合うだろうし、そういう攻防を楽しみにしてみるのも一興かな。