断絶か排斥か

Arlecchino2006-07-13

 私の友人のA兄弟が彼女との同棲がバレてしまって、実家に居る母親の怒りに晒されるという事があった。同棲があったということは当然母親が想像するのは単に同じ屋根の下に住んでいるということではなく、それ以外のこと。即ち性の不品行があったのだろうということで怒り狂っていた。
 バレた時は、何百キロもある実家から、遙々A兄弟の住居まで押しかけて、開けなさい!とドアをたたいたり、近くの通りを精神異常者の様にうねり歩き近所迷惑の限りを尽かしたそうだ。その後は、遠隔地なので、訪ねては来なかったが毎日毎日執拗に電話をしては

あんたはそんなにセックスが好きなの?!
セックスは楽しい?そんなにセックスしたかったの?

と、完全にソコだけに執着した怒りをあらわにしていた。留守録を聞かせて貰ったが、はっきり言ってどこかのワイドショーなどで見かける、迷惑犯のようにヒステリックな感じがした。しかも、息子を気遣っているという話は全くなく、地元の他の兄弟達に顔向けできないとか、○○姉妹に申し訳ないと、完全に自分の体面を気にする内容ばかりだった。
 追い打ちをかけるようにメールや、手紙などを送って来て怒りをあらわにしていたが、その内容も随所随所でエホバに向かって悔い改めて、悔い改めて、などと書いてはいるもののどこにも息子を愛しているとか、そういう趣旨の言葉がない。実際に目の前に居る息子ではなく、いるか居ないか解らないエホバにだけ気を遣い娘はどうでも良いという感じ。
 JW一世の母親に多いのだが、なぜこれらの人は決まって狂信的に怒りをあらわにするのだろう。JWを長くしていると現実と乖離して空想の世界が中心になるからだろうか・・・。
 その後、彼の母親が

あなたの地元の会衆の長老の連絡先を教えなさい。この事態を黙っていることは出来ないので、あなたが悔い改めるよう長老と話し合います。

という連絡が来ていたらしい。A兄弟は、とてもじゃないが宗教裁判に呼び出されてやり込められるのは勘弁だと考えて、どうするべきかと私に相談を持ちかけられた。
 私の考えとしては、二つしかなかった。謝って、素直に宗教裁判にかけられてしまい甘んじて排斥を受け入れるか。断絶状を送って先手を打って、母親との協議に応じないかだ。
 母親はあくまでも、組織の法律で彼を裁こうとしている。しかし、それはあくまで彼がJWであれば有効な話。彼がJWの範疇外に居れば問題はない。そのためには断絶状を送りつけるのが有効。彼もそれをよしとしてその案を採用した。彼はその旨を母親に告げると途端母親は泣きついてきて、断絶はしないでくれ、という話になり、その代わり母親も長老と連絡を取らないということになったそうだ。
 こういうやりとりを見ていると、国際間の政治駆け引きみたいで・・なんとも神権などという言葉とは遠くかけ離れている感じだ。俗っぽい。
 兎にも角にもこの駆け引きは一段落はした模様。断絶と排斥どちらがいいのかな、と改めて考える機会になった。