エホバかっ！

　会社の先輩と法人融資関係で色々と外回りに出かけることがある。大口のクライアントは私一人では請け負えないため、先輩上司と一緒に出かけることがある。内勤の人達は、一日ほぼ会社に拘束されているが営業は結構次の客先に行くまでに暇がある場合は喫茶店に入ったりして一服する。
　コーヒーを飲んだりしてのんびり雑談したりする。そんなときは日頃のあれこれとした悩みを相談したり話したりすることが多い。この先輩は個人的に飲みに行ったりすることもないのだが、仕事をする事が多いのでかなり先輩には色々と人生相談に乗って貰ったりする。
　とはいえ私も結構人生については色々と考えることが多い。それに、よっぽど他の人より経験もしている。だから、私が相談に乗って欲しいと切実に頼むことはないけど、雑談ベースで相談に乗って貰うという感じだろうか。
　先輩に例の宗教絡みの彼女の話をした。

実は・・彼女が宗教にはまってまして。それも伝統的な宗教ではなく新興宗教なんですよ。

すると先輩が刹那に即答した

エホバか？

欧米か！並に鋭いつっこみがあり、且つ一瞬耳慣れた言葉が聞こえたので条件反射で「はい」と言いそうになったが、そこはいえいえと訂正して彼女の宗教の話をする。勧誘されそうになったこと、家絡みで宗教をしているため結婚などをしたら、間違いなく自分も宗教に引き込まれる。それ以前に自分の実家とうまくいかなくなり、自分が孤独になることなど。
　先輩は自分の体験談から話し始めた

俺もな、昔エホバやってる子と付き合ったことがあったんだが、彼女は確かにエホバを新興してはいたんだけど、週に一回くらいか？会合みたいなのに行ってたな。それで親もしていた気がする。ただ、俺に入れっていう強要はしなかったから俺も別に気にしないで付き合ってたんだよ。
エホバって輸血拒否するんだけど、たまにその輸血拒否の根拠とか聞かされたりしたことはあったけどな。だから、俺も強制とかあったら別れたかもしれないけど、俺の付き合った子はそういうことなかったな。まあ、本人もそんなにまじめなエホバじゃなかったぽかったし。

　どうも先輩の話を聞いていると、不活発な研究生くらいだった感じだろうか。献身はしていないから、罪にはならないと考えて付き合っていたのかもしれない。まあ、この罪かどうかの定義だって、エホバの証人という法律の枠での話。いったん外に出たらまるで関係ない。罪だなんだ言う人間がいるが、罪ではない。
　結局先輩も、結論としては宗教絡みの恋愛は厳しいという話になった。特に勧誘とか洗脳をする宗教は、付き合う相手側がその宗教に興味がなければ悲惨な結果しか生まないということだった。確かにそれはその通り。信仰は自由。相手が何を考えるかは自由。だけど、この信仰は価値観とも一致してくるので、価値観が不一致な場合結婚や恋愛も難しい。それと同じで、信仰が違えば恋愛は立ちゆかない。恋愛と信仰離れているようで、密接に関係している。
　ちなみに、俺もエホバでした・・と喉まででかかったが、思いとどまった事は言うまでもない。