結婚の障壁

 正直結婚はしようと思えばいつでも出来た。ただ、揉めたくなかったので問題を先送りにしていただけだった。自分も幸せになり、親にもなるべく迷惑をかけないような仕方で極力皆が幸せになる方法を模索した。結婚まではひたすら、JW教義的にNGなことは一切明かさないことにした。ただ、結婚するという事柄のみならば結婚自体は神に認められた制度であるため、JWである親も受け入れざるを得ない。

 結局障壁となるのは、親以外何者でもなかった。親さえ納得してくれれば結婚は案外簡単に進む。そう考えた私は、まずは兄妹たちから説得していくことにした。会える兄弟には連絡を取り酒の席を設け飲みながら話、姉など会えない兄弟には電話やメールで豆に話をして自分の信念と現在の状況を分かってもらった。

 それから、次に父親へ個別に話をした。同居している兄妹に連絡を取り根回しはしてもらった上で結婚の話を切り出した。意外だったのは父親が、結構JWに傾倒していたこと。これはちょっとした誤算だった。以前は、半分笑いながらJWの教義を聞いていたものだったが、最近はそういうこともなくなり段々とJWチックになっていたらしい。まあ、毎週のように集まりに顔を出していれば、よほどの信念がない限りは傾倒してしまうかもしれない。しかし、父親も結婚という事については喜んでくれ、あとはお母さんが納得してくれればなぁとだけつぶやいていた。

 どういう場でいついうか、色々考えたが家族旅行を計画してその最後に親に打ち明けることにした。その場代は全部私が出すことにして、まるまるの親と家族の招待旅行だ。楽しい時間を過ごしながらも、最後に言った途端怒り出さないかなど色々心配してしまった。結果的に母親はあっさりと承諾してくれた。結婚自体はやはり神が認めた制度であるというのが主な理由だった。「そこで神かよ・・」などと思ってしまったが、これは母親もそういうルールの中で生きているのでいたし方がない。

 暴れたら困るので、極力人目に付くところを選んだり、場所をセッティングしていたのだが、取り越し苦労に終わって何よりだった。怒ったら帰りの飛行機の中で説得してくれなどと家族に頼んでいたが、これも取り越し苦労。かくして、私はほぼ正式にJWを脱退することとなった。